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執筆者の写真神山聴景事務所 株式会社

従来のBGMと聴景デザインの違い

更新日:10月7日

弊社では常日頃から聴景デザインの話をしますが、伝わらないことも多々あります。

今までの空間に対する音の理解と、音楽サービス(BGM)と聴景デザインの違いが明瞭化されていないことに起因しています。


皆様に理解していただくために、今まで伏せていましたBGMサービスとの違いを今回解説します。



従来のBGM ビジネスの概要


現在、多くの店舗や施設で流れているBGMは、ほとんどがBGM配信サービスから提供されたものです。これらのサービスは、以下の特徴を持っています。

  • 豊富な楽曲ラインナップ

  • 空間の雰囲気に合ったチャンネルの選択が可能

また、一部のサービスでは自社オリジナルのBGMを提供しているケースもあります。


サービスのメリット

  • 低コストで利用できる

  • 多彩な楽曲が揃っている

  • 飽きのこない空間演出が可能

ただし、現在BGMとして使用されている音楽は、必ずしも空間のために特別に作られたものではありません。そこで、空間体験をより高めるために、BGMにおける課題を考察してみました。


BGMの課題点その1「空間のために作られた曲ではない」



BGMの課題点その2「音楽構成が空間向けに編集されていない」






聴景デザインは音を素材とする無形のインテリアデザイン


各楽曲は、ミュージシャンの思想やテーマに基づいて作られていますが、それをそのままBGMとして使うことには注意が必要です。

「空間での音の役割を重視していない」「予算的に十分」といった理由があれば、BGM配信サービスの利用に問題はありません。


しかし、音の役割を重視する空間では、主張の強いメロディや、曲ごとに変わる雰囲気が空間全体の調和を崩し、世界観を損なう恐れがあります。


空間にはその場所特有の時間や楽しみがあり、音楽はそれらをつなぎ、心地よい時間を生み出す重要な要素です。






従来の空間向け音楽サービスは、デザイン性に欠けていることが課題でした。

オリジナル音楽を制作する企業は数多く存在しますが、弊社では単にコンセプトを形にするだけでなく、空間にいる人々がどのように心地良く感じられるかを考え、環境づくりに取り組んでいます。

現在、多くのクライアントや一般的なBGMの認識は「安価で、スピーディ、かつ楽曲の種類が豊富」といった点に重きを置いているのではないでしょうか。しかし、これまで既製品のBGMを使ってきたため、音楽がどのように作られ、空間にどのような影響を与えるかを考える機会はほとんどありませんでした。

この認識を変えることで、音に対する意識が高まり、環境全体の質も向上します。そのため、弊社では「音環境の重要性」をクライアントに理解してもらうことまでを、デザインの一環として捉えています。


大事なのは環境作りもですが、その前段となる意識の変化です。



BGMサービスと聴景デザインの立ち位置


空間向けサービスとしては一緒ですが、その位置関係は明確に違います。




A社は、円滑な導入プロセスと豊富な楽曲数を特徴とするBGM配信サービスを提供しています。一方、B社はオリジナル音楽を制作する企業で、イベントやショールーム、商業施設向けの音楽を手がけており、独自のアプローチを行っています(価格については非公開)。

これらと「聴景デザイン」を比較すると、聴景デザインはコンセプトに基づいたデザイン性のある音楽に機能性を持たせている点が特徴です。

また、表現の多様性(主観的ですが)という点でも違いが見られると考えられます。


楽曲を構成する音たちと環境との関係性を探っていくと、楽曲を構成する音A・音B・音Cの音量・音質・旋律・音数・曲調を微妙に変えるだけでも雰囲気や印象が大きく変わることがあります。

こうした違いを見えせていき、クライアントに納得してもらう丁寧なデザインが弊社の特徴でもありますが、実際にデモンストレーションをした方がより伝わるでしょう。



体験効果


聴景デザインに即効性はありません。

即効性を求められる場合は、既存のBGMかインパクト性のある音楽を作ったもらう方が良いでしょう。


下記のグラフはオフィス向けの聴景デザインをした際に行ったアンケートの結果です。

既存コンテンツを使ったサービスは、サービス導入の速さ、既存コンテンツ、安価であることから即効性があります。


しかし、環境を考慮したサービスとは違うため、徐々に効果は減少傾向にあります。

ただし、現場によっては効果が持続することもありますので、これは一例にすぎません。





聴景デザインでは、環境を考慮した上で音楽をデザインしますが、その際、あえてインパクト性を排除しています。これは、空間そのものを主体とし、音楽をその環境の一部として機能させることを重視しているためです。

音楽にインパクトがあると、音が空間の主役となったり、情報量が過剰になり、意図した体験を妨げてしまいます。

そのため、聴景デザインは環境との調和に少し時間がかかることもありますが、自然と耳に溶け込み、心地よさを感じさせる音を目指しています。



お気軽にご相談ください



商業空間においては、ブランディング快適性を両立させた音環境を提供できます。一方、オフィス空間、特に作業スペースでは音響対策快適性に加え、デザイン性を取り入れた環境づくりを行います。

さらに、オフィス内にはカフェスペース、コミュニケーションスペース、エントランスなど多様な空間が存在するため、各用途に応じて提供する価値を柔軟に調整することが可能です。


ご相談の際は、漠然としたご希望で構いません。お話を伺いながら内容を深掘りし、共通の目標を設定することが私たちの最初のステップです。


次回はデモンストレーションの機会でお会いできることを楽しみにしています。

株式会社神山聴景事務所



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